イベントを100倍楽しむために

出演者も、お客さんも笑顔になるためには

イベンターとして責任を持たなければいけない範囲というものはとても広いものです。イベントにはさまざまな「関係」が産まれるものですが、その中でももっとも重要な関係は「出演者」、そして「お客さん」との関係です。

出演者はもちろん、そのイベントを構成する大切な要素です。その場の「主役」であり、その場を盛り上げる実行力をもった、「イベントそのもの」であるといってもいいでしょう。その出演者との関係はイベントを成功させる上でもっとも大切な要素です。イベントがくだらないもので終わるか、大成功に終わるかの「鍵」は、なによりも出演者が握っているのです。イベントのクオリティ、方向性、お客さんが実際に楽しむ対象として、出演者との良好な関係が何よりも大切なものであるということは、想像できることです。

また、そのイベントの空気感、演出、進行、そして出演者のラインナップなどを通じてお客さんに楽しんでもらうということが、お客さんとの「関係」です。その場を提供し、貴重な体験をしてもらうことで、他では得られないような感動を味わってほしいということ、それがイベンターとしての使命です。そのためには押し付けるのではなく、自然にその場を楽しむことができるような工夫が必要です。イベントはあくまでもイベンターのものではないということ、出演者と、お客さんのものであるということを意識することが大切です。

この「イベントは自分のものではない」という意志が希薄だと、「演出家気取り」になってしまうことになります。自分が「イベンター」という立場でそれに「関わりたい」という願望を満たすためだけのイベントになってしまうと、実は出演者やお客さんのことを度外視し始めるようになってしまうものです。それはイベンターとしては恥ずべきことですし、何よりもそれが出演者やお客さんに伝わった瞬間に、一気にシラけてしまいます。一番避けなければいけないことは、イベンターの「自己満足」に他なりません。

「自分はこんなイベントをやったぞ」ということは、「イベンターとしての自分」を創りあげたいという願望であり、ただの「自分の欲求」です。自分のカタルシスとしてのイベント運営なのであれば、それに巻き込まれる出演者やお客さんはいったい何なのか、ということになります。そのようなイベンターの「意識」というものは、不思議と運営するイベントの端々に現れてしまうものです。それが見え隠れしてしまうと、出演者はモチベーションが下がりますし、お客さんも一気に違和感を覚えることになります。

お客さんも出演者も笑顔になるためには、「そうなるように」イベンターが願わなければいけません。それが「本心」でなければいけないのです。イベンターはステージに立つ人ではなく、その「場」をとりまとめる人、出演者とお客さんを繋ぐための人です。カルチャーの発信側と受信側の橋渡し役なのですから、「自分が」というような意識はまずは捨てることです。イベントを運営することが夢だった、自分が良いように自由なイベントを組んでみたかった、ということはわかります。ただそれが「イベントそのものか自分のもの」というような錯覚を招いているのだとしたら、それは大きな間違いです。

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