イベントを100倍楽しむために

イベンターという職業

「イベンター」はいわゆる「興行主」です。何かを誰かに提供し、その入場料などを売り上げにし、出演者や展示物に対する費用を支払い、その残りが「利益」です。イベンターはシビアな職業です。

イベンターとしての売り上げの主たるものは「チケット」の販売数で左右されます。「観に来てくれる人」がいることがそのビジネスが成り立つ最低限の要件です。たとえ誰も観客が来なかったとしても、参加するアーティストや展示物には一定の費用がかかります。「観客がいなかったから費用は払えない」ということであれば、そのようなイベントには誰も参加したくないものですから、内容が一気につまらなくなることでしょう。「つまらなくなる」ということは、またお客さんが減ってしまう原因にもなります。「興行」はシビアなものです。世間の「何かを楽しみたい人」というビジネスの対象が残酷だからです。

私たちはそもそもつまらないものや興味のないものにはお金を払いません。つまらないものは「つまらない」という一言で、特に何も考えることなく、何も印象に残ることなく、そのまま終わりにしてしまうのです。イベンターにとってはそれが一番怖いことです。「興味を持たれない」、広告に触れた段階から「つまらない」と捉えられてしまう、すぐに忘れられてしまうということが、なによりも痛手です。人を楽しませるために起こしたイベントなのに、万人から無視されてしまうと、ビジネスとしてもまったく意味がなくなってしまうからです。

イベンターとして必要なことは、まず「お金を払ってでも参加してもらえるような内容」を揃え、それを的確に世間に訴えることです。世の中には「情報」があふれ、私たちは能動的にかなり詳しいところまで自分で気になる情報を収集することができます。それらの情報によって私たちの好みは細分化し、それぞれが自分なりの方法論で、自分なりの理由で好きなもの、好きなことがあるのです。それらはひとまとめにすることができないもので、イベンターは自然とさまざまな人に対してアプローチすることが求められます。

イベントの広告は、イメージも大切ですが、問題なのは「イベント自体の中身」です。私たちはそれらのイベントに対して費用をと時間を費やすのであれば、「価値」を求めるからです。価値のないイベントになどは、参加したくないのです。ですから広告上ですでに「価値」がわかるようなものでなければいけません。展示物や出演者などを明確に紹介しておく必要があるのです。

一度のイベントではなかなかビジネスとして回していくための収益は確保できないものです。イベンターは同じ内容のイベントを各地で展開したり、あるいはさまざまなイベントを同時に企画したりして、ビジネスとして成立するように日々活動しています。私たちはそのようなことは意に介さず、「興味のあるもの、楽しいこと」を貪欲に探します。「何が楽しいか」ということは人によって違うので、常に一定の価値を提供することなどはできないのです。イベンターは人に「楽しさ」を提供する仕事ではあるのですが、それはとても難しいものです。ですが、イベントが成功したときの満足感は、他の仕事では得られないようなものでしょう。

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